2020年03月28日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その30「ほんとにどうでもいい事を語る その2」

さてどんどん続けていこうか。


語族
技能の選択ルールとして一つの専門分野を究めると関連した専門分野に転換できるというものがある。(ルール的には技能値がボーナス的に上昇する)

このうち〈他の言語〉に関してはその語族に属する〈言語〉が関連した専門分野になるそうな。例がいくつか載っているが、このルールを使いたいキーパーは百科事典で「語族」の事を調べる事を勧められている。

つまり真に楽しみたいならそういうことをちょっと勉強した方がいいよって事だ。
(例には載っていなかったがラテン語が出てくる頻度が多いのでラテン語族に属する言語がどれかというのが結構重要だと思う。確かフランス語、イタリア語、スペイン語、ポルトガル語あたりだと思った。結構あやふやなのでツッコミがあればどうぞ)



映画の話
第1章でキーパーの役割が監督に、探索者を演じるプレイヤーは俳優に少し似ていると述べたり、第10章ではジョン・カーペンターの「遊星からの物体X」(注1)をもとにどうシナリオを構成していくかを囲みとしてとして取り上げるなどといった具合に、表現手法やシチュエーションの例え話に映画を持ち出すことが多くなった。ジャンルは決してホラーに限定されているわけではない。

これは昔から映画を参考にすることでTRPGのプレイ(キーパーだろうが探索者だろうが)の幅を大きく広げることができると言われていたことを追認したともいえる。

それにしても
映画「地獄の黙示録」でデニス・ホッパーの演じたフォトジャーナリスト
って例えで「あぁ、あれね」と即座にイメージできる人ってどのくらいいるんだろう?


魔術とは何か?
第9章の序文にある、
魔術は人類の理解する能力の外側にある異界の知性に由来
科学の頂点に位置するような事柄は、無知なるものから見ればすぐ「魔法」にされてしまいかねない


アイザック・アシモフは「ファウンデーション」で退化した人々に高度な科学技術を「神の力」として浸透させることで支配権を強め、後に「魔法使い」と呼ばれるようになる様を描いた。アーサー・C・クラークは「十分に発達した科学は魔術と区別がつかない」という有名な言葉を遺した。逆にH・P・ラヴクラフトだって100年前はホットな最先端科学であった「南極探検」、「相対性理論」なんかを作中で取り上げている。冒頭で引用した文章ははこの辺りを意識して書かれたものなのだろう。

つまりクトゥルフ神話にとっての魔術とは人類が理解しえない科学であるといえる。そういった「科学」を目の当たりにすることで狂気へと近づいていくのだ。

この話はクトゥルフ神話を扱うならSFにカテゴライズされるような作品も向いているのじゃないかという私の考えを補強してくれた。(注2)





今回は少し硬めの話になっちゃったな。多分次が最後になると思う。続きを読む

2020年03月21日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その29「ほんとにどうでもいい事を語る その1」

タイトル通り最後は本当にどうでもいい事を語るので、少しの間お付き合いください。

キーパー・オブ・アーケイン・ロア
5版、6版の「隠された知識をキープしている者というところから、キーパーと呼ばれる」という説明的な表現から、最初のように「隠された知識を守る者」(ちなみに最初の日本語版では「隠された知識の守護者」という厨二病的訳語だった)にキーパー・オブ・アーケイン・ロアとルビを振る形になった。

これは原文からなのか訳者のセンスなのかはわからないけど、私にとってこの名称の復活は本当に喜ばしい。

私はキーパーの事を「KP」と略すことに非常な抵抗がある。もともと略しているものをさらに中途半端に略しているからだ。例えるなら「ゲーム・マスター」は「マスター」だから「MA」とか「MS」と略していると言っているようなものだ。

だからキーパーをさらに略すならもう「K」とまで略すか、「Keeper of Arcane Lore」の頭文字を取って「KAL」なんてのはどうだろう。(絶対定着しないな)

ともあれ「キーパー・オブ・アーケイン・ロア」という正式名称がどんどん広まっていってくれればと思う。そこで「キーパーが何故キーパーなのか」という事に少し考えをめぐらせてくれればと切に願う。

一人の探索者の死
地球を隷従させようというクトゥルフの根本的な計画を阻止できるならば、1人の探索者の死は小さなことだ!
これは第5版の
クトゥルフはそんな小さなことには気にとめませんから、君も気にとめないでください。
に匹敵する名言だと思う。ここで「一人の探索者の死」という事をもう少し深く考えてみたい。

冒頭の文章はおそらくキーパーにも探索者を受け持つプレイヤーにも向けられていると思う。

探索者を受け持つプレイヤーには自身の探索者の死を恐れるなと、キーパーには探索者の死はあくまで「地球を隷従させようとする者たちの根本的な計画」を阻止するための礎(少なくともそう信じられるもの)であるべきだと。

そう考えればキーパーもむやみやたらに殺そうとするべきではないことが理解できるだろう。探索者を受け持つプレイヤーたちも命の懸けどころで躊躇せずに行動すれば、武運つたなく死を迎えたとしてもその探索者は真に生きていたと言えるのではないだろうか。

逆に自身の探索者を失う事を恐れるがあまり、命の懸けどころで正しく命を懸けられなかった者は、たとえ生き延びても物語の中では死んでいるのも同じなのではなかろうか。

探索者の死に関しても第10章で重要なアドバイスをしているので参照してほしい。

ハーヴェイ・ウォルターズ
今回も探索者創造の実例となったハーヴェイ(第6版のみハーベイ)・ウォルターズ氏。今まで以上にルールブックのあちこちで体を張って実例を示してくれています。

第5版でかなり詳しい設定がなされていたが、今回その辺の設定はバックストーリーの影響で変わっている。第7版になって〈信用〉に多めにポイントを回しているのはその2で紹介した通りだ。

何よりも一番の差異は肖像だ。第2版、第5版、第7版の三種類(第6版に肖像画はない)を見比べたら、「誰だ、お前?」になること受け合い。




少し長くなりそうなのでここでいったん切ります。
3/21:誤字を修正しました続きを読む

2020年03月20日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その28「〈アイデア〉、そして怪物たち」

さて、少し残したことをちょぼちょぼやっていこう。

〈アイデア〉ロール
・キーパーが重要な手掛かりを提示し損ねて動きが取れなくなってしまった。
・キーパーとしては情報もしっかり提示して気が付いてほしい事なのに、探索者側が全く気付かずに迷走を始める。
・確かに手掛かりは提示したが、(実時間で)長い時間がたっていてプレイヤー側が失念してやるべきことを見失ってしまった。


等々、こんな感じでゲームが止まってしまうことはないだろうか?そんな状況を動かすためにプレイヤーにINTロールをさせる事をルール的に〈アイデア〉ロールと定義した。

これは通常、探索者側から提案されるものだとルールにはある。しかし迷走を見かねて探索を本筋に戻すためにキーパー側から提案するという事態もありそうだ。かなりメタ的なロールではあるが、昔からキーパーの裁量レベルで行っていたものをルールとして追認したのだろう。その明確な基準を提示したのではないか。

何にせよキーパーは難易度を設定して、探索者側の代表(INTが一番高い者がやるのが普通だろう)が〈アイデア〉ロールを行う。設定される難易度は手掛かりをキーパーがきちんと提示していたかで決めることとなるだろう。ここはキーパーの公平性が問われるところだ。

〈アイデア〉ロールが成功しようが失敗しようが、状況を動かすための手掛かりは与えられる。ロールの結果はそこに至る過程を決める。成功すれば手掛かりはすんなりと手に入るし、失敗すれば時間を浪費するなど何らかの代償が必要とされるだろう。

一応は能力値ロールなのだから、プッシュや〈幸運〉を消費することはできるだろうが、成功しても失敗しても得られるものが変わらない以上は大した意味があるとは思えない。

キーパーとして大事なのはこのような〈アイデア〉ロールに頼らなければならないような事態をなるべく作らないようにすることだ。そのために第10章で手掛かりについて重要なアドバイスを行っている。そして〈アイデア〉ロールの結果を「アイデア」を渡す物語として組み込んで行くべきだとしている。

神話種族の分類
いままで神話種族といわれるものを
・奉仕種族(上級、下級)
・独立種族(上級、下級)

神格として、
・グレート・オールド・ワン
・外なる神
・旧き神
こんな感じで分類してきた。今回この分類がオプション扱いになり、正規としては分類を神格かそうでないかだけにまとめた。もちろんこれでゲームとして何がどう変わるというわけではないのだが、これもまた長い間守り続けていたものなので大きな改革といえるのではないだろうか。




これでだいたい探索者の創造とチェイスを除いて重要なことは網羅できたかな。もし何かあれば思い出したようにやるかもしれないけど、残りはほんとにどうでもいい事を語るだけになるはず。

2020年03月12日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その27「魔術の行使」

この魔術の行使に関して大きな改訂点が三つある。一つはマジックポイントが0になった時の扱い。一つは魔術を初めて使用する際にキャスティング・ロールが必要になった事。そして選択ルールではあるが、〈クトゥルフ神話〉を使って即興で魔術的効果を作り出すことができるようになったことだ。

ではそれぞれを見ていくこととしよう。


マジック・ポイント
魔術を使うために多くの場合マジック・ポイントを消費することになる。今まではマジック・ポイントが0になると意識不明に陥ったが、今回それが無くなった。では不足したらどうなるかといえば、その不足分は耐久力から差し引かれることになる。イメージとしては使い切った精神力を命を削って補う感じか。

耐久力から差し引かれるという事はその9その10で紹介した負傷ルールがそのまま適用されるという事だ。損失の具体的描写はキーパーに任される。

マジック・ポイントはPOWが100までの場合、1時間に1ポイントずつ回復していく(以前は6時間ごとにPOWの4分の1)。この回復は耐久力と同時に行われる。

キャスティング・ロール
呪文を唱えるための様々な構成要素については細かく取り上げない。習得法に関しては以前とそれほど変わっていないし、他の点に関してはルールではなくシナリオ、物語として扱うべきものだからだ。

コストを支払い、キャスティング・ロールに成功すれば呪文は発動する。キャスティング・ロールに失敗すれば支払ったコストは浪費されるが何も起こらない。もう一度呪文を試みることもできるが、それはプッシュ・ロールという事になる。このプッシュしたキャスティング・ロールに成功すれば通常のコストで呪文は発動する。失敗した場合、呪文は発動するが大きな代価を支払う必要がある。それは以下の通りだ。

・呪文コストの増加。
通常コスト(マジック・ポイント、POW、正気度)に加えてより多くのコストを支払う必要がある。先も述べた通りマジック・ポイントが不足すれば不足分を耐久力で補わなくてはならない。耐久力でも支払いきれないなら、術者は死ぬことになる。

・その他の副作用
その他の副作用を考慮するために1D8を振る2種類の表が用意されている。これらの多くは術者だけではなく周りの人々にも影響を与えることとなる。

プッシュしないのならば、とりうる方法はもう一度情報源に戻って習得するところからやり直すことだ。それには当然時間がかかるし、習得のためのダイス・ロールもしなければならない。時間の制約があるような状況ならば致命的な事態になりかねない。

キャスティング・ロールというのは呪文が成功したか否かを測るものではなく、その過程の物語を語るために必要なものだ。だから1度発動に成功すればその後はキャスティング・ロールの必要はないし、NPCや怪物(つまりキーパーの管理下にあるもの)にもキャスティング・ロールは必要ない。

〈クトゥルフ神話〉の自然発生的な使用
冒頭に述べたように選択ルールとして〈クトゥルフ神話〉を用いて魔術的効果を即興で作ることができる。実行するための原則は通常の技能ロールと変わるところはない。すなわち「何のために、何をするか」だ。

プレイヤーは目的とそのために行う行動を告げ、キーパーはそれを聞いて許容できるかどうか判断し、許容できそうならコストを決めてロールを求める。コストはキーパーの任意だが、同種の呪文があるならそれと同等にするのが良いとされている。以下通常の呪文との差を述べていく。

・プッシュ・ロール
プッシュ・ロール失敗のコストと不都合はキャスティング・ロールと同等だ。しかし〈クトゥルフ神話〉の自然発生的な使用の場合、プッシュロール失敗時に効果が発動する保証はない。(つまりキーパーの任意)

・対抗ロールが必要な場合
通常ならばPOW対POWの対抗ロールになるが、この〈クトゥルフ神話〉の自然発生的使用の場合は発動する人間の〈クトゥルフ神話〉と対象のPOWでの対抗ロールとなる。

・成功した後
呪文の場合は一度成功してしまえば次回からキャスティング・ロールの必要はないが、〈クトゥルフ神話〉の場合は毎回ロールする必要がある。




この運用はかなり慎重を期する必要がある。制限をかけすぎれば自由な発想を奪う事にもなるし、だからといってあまりにも野放図に認めてしまえば分不相応な危険な力を探索者に渡してしまうことになる。

この辺のガイドもルールに記載されているのでよく参照しておいた方が良い。



まとめ
ルールでも指摘されている通り、魔術を使うのは基本的に探索者と敵対するカルティストや魔術師たちである。探索者が魔術を使わなければならないという状況はそれだけ危険と隣り合わせの劇的な場面という事だ。今回の改訂はまさにそんな場面を演出してくれる。

また第12章では魔術のより深みへと足を踏み入れる可能性も示唆している。そして新しい呪文の創造や呪文のさまざまなバリエーションのアドバイスも紹介されている。

これらもまた「ドラマ性の構築」の大きく寄与するものといえよう。


魔術についてもこれでだいたい紹介し終えたはずなので、次回以降は細々としたことをまとめて取り上げていきたい。





追記:
スタートセット発売(2/28)までには終わらせたかったのだが随分と時間がかかってしまった。サボっていたというよりうまく文章がまとまらなかったという理由の方が大きい。あともうひと踏ん張り、多少気合を入れてやっていきたいと思う。

2020年02月19日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その26「信じる人、信じない人」

「信じるか、信じないかはあなた次第」
どっかで聞いたようなフレーズだけど、これが今回のテーマだ。

信じない人
探索者だからといって、皆クトゥルフ神話を頭から信じているわけじゃない。そういった宇宙的恐怖に遭遇した経験がないなら、本に書いてある事を書き手の妄想だと切り捨ててしまうこともできる。

こういった「信じない人」は魔道書をどんなに読んだところで真実ではないと思っているのだから正気度を失うことがない。だが知識は得ているのだから<クトゥルフ神話>は上昇していく。当然<クトゥルフ神話>が上昇した分、最大正気度は落ちていく。

そういう「信じない人」になることを選ぶかどうかはプレイヤーの自由だ。だが信じないことを選んだものにはリスクがある。

信じる人になる
先に述べたとおり、「信じない人」でいられるのは宇宙的恐怖に遭遇した経験がないからだ。その証拠を目の当たりにしてしまえば、それを信じるしか道はない。またプレイヤーはいつでも自身の探索者が「信じない人」であることをやめることができる。

ゲーム的に言えばクトゥルフ神話的恐怖に直接遭遇したことで1ポイントでも正気度が減少した時か、プレイヤーが「信じない人」であることをやめると宣言した時、その探索者は「信じない人」から「信じる人」へと変わる。そして「信じない人」から「信じる人」になった瞬間に、自身が持っている<クトゥルフ神話>分の正気度が一気に減少する。

一度「信じる人」になってしまえばもう後戻りはできない。

「信じる人になる」の記録
ここからは運用の提案という事になる。ルールでは「キーパーが管理することはほとんどない」とは言っているが、やはりお互いに記録を取っておいた方がいいだろう。記録に一番いい場所はバックストーリーの「イデオロギー/信念」の項だろうか。

「信じる人」への移行基準
「信じる人」にならざるを得ないような経験とはどういう事を言うのだろうか?いくつか例を挙げていきたい。

・深きものを見た
ルールブックの例にも挙がっているが、もしこれで正気度が減少すれば「信じる人」へと移行する。だが正気度の減少が無ければ自分の中で合理化したので「信じる人」に移行することはない。

・クトゥルフを見た
クトゥルフの正気度の減少値は以前と変わらず、1D10/1D100なので正気度ロールに成功しようが失敗しようが正気度が減少する。したがってどうあっても「信じる人」にならざるを得ない。

・ただの死体を見た
死体を見ただけではクトゥルフ神話的恐怖とは言えないので「信じる人」にはならない。これもルールブックに記述がある。

・魔導書に載っている呪文を唱えた
魔導書で見た呪文を唱えたという事はクトゥルフ神話的事象を体験したことになる。しかもほとんどの呪文は正気度が自動的に消費される。

・読書のプッシュ・ロール失敗の不都合として正気度が下がった。
そもそも読めていないのだから信じる信じないはないと思うが、本の持つ力を体験したという事で信じるしか道はないと思う。またほかの本から<クトゥルフ神話>を得ていた場合はこれで「信じる人」に移行して、その分の正気度を失うことになるだろう。

・魔導書の研究によって最大正気度が現在正気度を下回った
確かにクトゥルフ神話がらみで正気度は下がったとはいえるだろうが、神話的恐怖に直接遭遇したとは言えないのではないか?だが状況証拠の積み重ねで信じざるを得なくなったと考えれば、「信じる人」への移行の理由になりえるのではないだろうか。

これは人によって判断は大きく分かれると思う。私としては後者の意見を採りたい。


まとめ
「信じる人」はその恐怖心故に深入りはしない。しかしそれを持たぬものは安易に足を踏み入れ、ある時それを後悔する。だが後悔した時にはもう引き返せないところにまで来ている。

そんな選択肢を与えるという意味でなかなか面白いルールだと思う。だが単発ではあまり使いどころは考えにくい。やはりこのルールが真価を発揮するのはキャンペーンにこそあると思う。

2020年02月12日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その25「魔導書の研究」

注目度は低いかもしれないが、「魔導書」や「呪文」にも結構大きな改訂が入っている。ここでは「魔導書」と「呪文」のルール的な側面を取り上げていきたい。(「魔術とは何か」の記載には結構思うところもあるので後で取り上げようとおもう)

まずは「魔導書」からだ。

魔導書のデータ
魔導書に5種類の数値データが導入され、かなり整理された印象を受ける。まずはこの5種類の数値データを紹介する。

・研究期間
完全な研究に必要とする平均的な週単位での期間。キーパーの裁量によって前後する。

・正気度喪失
魔導書を読んだことによって喪失する正気度の値。

・CMI(初期クトゥルフ神話)
最初に読んだ時に上昇する<クトゥルフ神話>の値。

・CMF(完全クトゥルフ神話)
完全に研究した時に上昇する<クトゥルフ神話>の値。

・神話レーティング
この書物がクトゥルフ神話の参考書としてどのくらいの役立つかを示す値。%表示で示される。



最初の読書
最初の読書のための期間は物語の展開などを考慮してキーパーが決定する。読むために技能ロールが必要かどうかもキーパーが決める。

技能ロールが必要だと判断したなら難易度を設定して、通常の技能ロールの手順に基づいて読み手(のプレイヤー)が技能ロールを行う。成功すればCMIの値だけ<クトゥルフ神話>が上昇し、正気度を失う。これにより内容について学び、書かれている可能性のある呪文についてヒントを得る。

失敗すれば理解できなかったので正気度は失わないし、<クトゥルフ神話>の上昇もないが得られるものもない。

もし急いでいるならプッシュ・ロールを試みることもできる。もちろんそのためには説得力のある理由が必要になるし、失敗の不都合を受け入れる覚悟もいる。その不都合はやはり正気度の減少を含むものになるだろう。「幸運を消費」する選択をしてもかまわない。

プッシュしなければ再ロールするために相当な期間をおく必要がある。そのために必要な期間はキーパーによって決定される。

このルールの整備によって、以前の「斜め読み」は廃止された。


完全な研究
最初の読書を終えると、完全な研究をすることができる。もう読書のための技能ロールは必要ない。研究が終わればまず正気度を失い、

魔導書の神話レーティング>読者の<クトゥルフ神話>:CMFの値で<クトゥルフ神話>が上昇

魔導書の神話レーティング≦読者の<クトゥルフ神話>:CMIの値で<クトゥルフ神話>が上昇

こんな具合で<クトゥルフ神話>が上昇する。さらに自動的に書かれている言語の技能に経験チェックが付く上に、もしかすると他の技能についても何らかの恩恵が受けられるかもしれない。

完全な研究を終えた後も研究を続けることができる。その研究期間は前の研究期間の2倍になる。例えば最初の完全な研究に10週かかったとすれば次の研究に必要な期間は20週、その次は40週という具合だ。そして研究が終了するたびに正気度が減少し、同様に<クトゥルフ神話>が上昇する。

<クトゥルフ神話>の上昇上限について第9章には「最終的には得るものはなくなる」としか記載されていないが、第11章の魔導書の表を見ると神話レーティングまで<クトゥルフ神話>技能を伸ばすことができると記載されている。



その他、まとめ
神話レーティングが従来の方式(読書で得られる<クトゥルフ神話>×5)に比べて、あらかた下がっているために参考書としてのお役立ち度は下がっている。

しかし以前は一冊の本で得られる<クトゥルフ神話>も正気度減少も実質一度だけだったのに対し、今回は繰り返し研究することで何度も<クトゥルフ神話>を上昇させられるし、正気度も減少する。




次回はこの魔導書のルール改訂に大きな影響を与えたと思われるものを紹介する。個人的に結構面白いと思ったものなので細かくやっていきたい。

2020年02月10日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その24「キー・コネクション」

バックストーリー改訂の補足
プレイヤーも自身のバックストーリーを改訂することができる。ただし例外がいくつかある。

・キーパーの指示による改訂を再び改訂するためにはキーパーの同意が必要
・心理療法のみが「恐怖症、マニア」のエントリを消せる
・キーコネクションの変更は探索者成長フェイズにおいてのみ実行できる(例外あり)



キー・コネクションの効果
このキー・コネクションはプレイヤーが自身の探索者にとって特に重要なものとして選ばれたものだ。(まさかゲーム的に有利だとかキーパーから壊されにくいからという理由で選んではいないだろうな?)

だからこそこのエントリを使った自己精神療法にはボーナスダイス(これが正気度ロールにおいて唯一ボーナス/ペナルティダイスが適用される場面だ)が与えられるし、成功すれば不定の狂気からも回復する。ボーナスダイスの加護を受けてもなお正気度ロールに失敗すれば、当然キー・コネクションは失われる。

キー・コネクションの喪失
キーパーがキー・コネクションを排除するためにはその前にそれを救うためのダイス・ロールの機会を一回は与えなければならない、とルールには記載されている。

ここで注意すべき点は機会を与えれば良いのであって、必ずしもダイス・ロールをさせる必要はないことだ。つまりキーパーはキー・コネクションが失われる前に、
「このままでは(キー・コネクションとして指定したもの)が失われるよ。どうする?」
と尋ねるだけでいいのだ。そこでプレイヤーがキー・コネクションを救うために何らかの行動をとるのであれば、ダイスロールを認めればいいし、何もしないのならば機会を放棄したとみなしてキー・コネクションを失わせればいい。

特に重要なのだから、失えば当然正気度ロールを要求される。そしてキー・コネクションを新たに指定するには探索者成長フェイズを待たなくてはならない。ただ、正気度ロールでクリティカルを出せば失われたキー・コネクションに代わる新たなものを指定しても良いとある。「しても良い」だからここら辺はキーパーの裁量といったところか。




これで正気度とバックストーリーの大まかな所を紹介し終えたかな。あとは魔術の事について少し解説した後、細々とした話をして第1部完という事にしたい。

2020年02月08日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その23「幕間での活動」

シナリオ(キャンペーンの一つの章)が終わり、もし探索者が生き延びていればゲーム的な事後処理に移行する。これを「探索者成長フェイズ」と呼んでいる。

まず行われるのは経験による技能の上昇(「幸運を消費する」のルールを適用した場合は幸運の回復)をチェックすることだ。

そして次の探索へ向けての様々な幕間劇が行われる。経済状況を確認して<信用>を増減させるのは代表的な例だ。今回はその中でも正気度とバックストーリーに関連した事柄を重点的に取り上げる。

不定の狂気からの回復、心理療法
不定の狂気に陥った探索者は自宅で療養したり施設に入ったりして治療を行う。キーパーとプレイヤーは探索者の状況を総合的に判断してどちらを選ぶか決める。

どちらを選んだにせよ、治療を始めてから一か月ごとにD100をロールして規定の出目以下を出せば不定の狂気から解放される。自宅でゆっくりと手厚い看護を受ければ回復しやすいし、施設はピンキリ。


また前回述べたように医師やアナリストの<精神分析>によって正気度を回復させたり、「恐怖症」や「マニア」を項目から消すための判定もここで行う。

自己精神療法
幕間で正気度を回復させる方法がもう一つある。それは自身の精神的な支えとしてバックストーリーのエントリと関わりながら過ごすことだ。

そのエントリは自身を人の世界につなぎとめるための支えとなるものでなければならない。それらは当然クトゥルフ神話に関連するものであるはずがない。

そうやって探索者のバックストーリーのテーマに沿って、どのエントリで何をするのかをプレイヤーは詳細に検討する必要がある。

行動をキーパーに告げて、正気度ロールを振って成功すれば正気度は上昇する。しかし失敗すると正気度が下がるだけではなく、失敗を反映するためにバックストーリーが改訂される。

ルールではこの一連の流れをロールプレイとして行うことを推奨している。つまりこういう事だ。

・キーパーとプレイヤーで行おうとする自己精神療法の場面をロールプレイする。

・プレイヤーは正気度ロール。

・再びキーパーとプレイヤーで結果をロールプレイする。失敗の場合はバックストーリーに結果を反映させた上でのロールプレイになる。


こういう後日談をきちんとやれば(特に失敗の場合)すごく面白いドラマになると思うけど、シナリオ終了後にここまでやろうと考える人ってどのくらいいるんだろう?もしやるつもりなら時間にかなりの余裕を持たせないとダメだな。



次回はバックストーリーの補足を少ししてから、キー・コネクションの話をしていきたいと思う。

2020年02月07日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その22「恐怖症、マニア」

「狂気の発作」が起こった時「恐怖症」や「マニア」が発生する場合がある。対象を具体的に決めるためのD100で振れる表があるが、あくまで参考程度。こういうのはダイス目に頼るよりも周りの状況などを鑑みて選ぶのがいいと思う。

「恐怖症、マニア」の項へ症状を加筆するのは「狂気の発作」に基づく代表的な改訂だ。それらのゲーム的な影響もきちんとルールとして明記されている。


恐怖症とマニアの影響
探索者が正常な状態であればバックストーリーに記載されている「恐怖症」や「マニア」はフレーバーとしてのみ存在する。つまりこれをどう扱うかはプレイヤーに任され、それについてゲーム的な不都合は生じない。

だが狂気に陥っている時の「恐怖症」や「マニア」はペナルティダイスという形でゲーム的な影響を及ぼす。これから逃れるためには恐怖症やマニアの対象物から離れるか、マニアの欲求を充足させる必要がある。

また<精神分析>の成功は一時的に恐怖症やマニアの影響を無視させられる。


回復
「恐怖症」や「マニア」の回復には心理療法が有効だ。医師や精神アナリストによる診療はバックストーリーから「恐怖症、マニア」を取り除ける可能性がある。

そのためには対象者への<精神分析>と自身の正気度ロール両方に成功する必要がある。


まとめ
「恐怖症」は狂気の代表的な症状だが、後遺症(特にゲームとしての数値的な影響)などほとんどがキーパーの裁量に任されて(要は丸投げ)きた。今回この辺りが明確に定められたことで扱いやすくなったと思うのか、余計なお世話と思うのかは人それぞれだと思う。

ともあれこの「恐怖症」や「マニア」は当該探索者を受け持つプレイヤーの力量を試すこととなるだろう。

2020年02月05日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その21「バックストーリー改訂」

ここからバックストーリーの改訂と正気度回復の話に入っていく。まずバックストーリーの改訂はどんなタイミングで行えるかという話からだ。

狂気の発作に基づくもの
「狂気の発作」に基づくバックストーリーの改訂についてルールでは二つの意義を示している。一つは「狂気への転落」の反映、いま一つは「物語への結びつき」を強めることだ。プレイヤーとキーパーは協力してこれらの意義に即するように適切に改訂を行うのが良いとされている。それぞれのエントリについての改訂事例はルールに記載されているので参照してほしい。第10章にはどう運用するかの具体的なアドバイスもある。

もちろんキーパーの権利なので使わないこともできるが、とっておく事は次の項で指摘する理由であまり意味はない。


それ以外
別に「狂気の発作」に基づかなくてもバックストーリーの改訂を行うことができる。以下はその例だ。


・重症の結果を「負傷と傷跡」の項に加筆する。
・魔導書や呪文、アーティファクトを手に入れたことを「魔導書、呪文、アーティファクト」の項に加筆する。
・超自然の存在(神格や神話生物)を目撃したことを「遭遇した超自然の存在」の項に記録する。(「恐ろしさに慣れる」のルールのために減少した正気度も記録しておく)
・プレイ中や幕間でバックストーリーに関連した変化(「秘蔵の品」を失った、「重要な人」が死んだ、「意味のある場所」が破壊されたなど)があった場合、その部分について加筆、修正する。(幕間の変化については次回以降)


これを見れば「狂気の発作」時の改訂権をとっておくことにあまり意味はない事を理解していただけると思う。「狂気の発作」によらずとも多くの場面でキーパーは起こった事象の記録をバックストーリーに残す指示ができるからだ。

ここで問題。
館を偵察していたAはそこで深きものを目撃する。当然キーパーはAに正気度ロールを要求。正気度ロールに失敗したAは減少値を決定する1D6で5を出してしまう。最後の要件であるINTロールにも成功して、Aは一時的狂気に陥る。

先のこの事例においてキーパーはAのプレイヤーに深きものを見た事、そしてその減少値である5をバックストーリーに記録することを指示した。これは「狂気の発作」に基づくものであるか否か。

「狂気の発作」に基づくものならば改訂権をここで使った事になるし、そうでないなら改訂権をいまだ保持していることになる。


答えは「狂気の発作に基づくものではなく、狂気の発作に基づく改訂権はいまだ保持している」である。「この指示は正気度が減少したかどうかにかかわらず行えるため」というのがその理由だ。

つまり正気度ロールが成功したとしてもキーパーは深きものを見た事と減少値(0も数字のうちだ)を記録する指示ができる。その後に「狂気の発作」が起こったのだから、そこで改訂権が発生するという理屈だ。


まとめ
元ネタ付きなど特に設定に思い入れのあるキャラクターを演じているプレイヤーの場合、一方的に設定をいじられるのは嫌だ、という方もいると思う。昨年末、兄とその辺が7版の普及を阻害するのではないかという話にもなった。

うちの子を大事にしたい気持ちはわかるが、それは過保護というものだろう。最初のバックストーリーの項にも書いた事だが、改訂の記録こそ探索者の足跡そのものなのだ。

それをわきまえた上でプレイヤーは自身のキャラクターの改訂を積極的に提案していき、キーパーも受け入れられる提案ならそれを積極的に取り入れる。それが互いに協力して適切に改訂を行うという事ではなかろうか。

次回は代表的な「狂気の発作」による改訂である「恐怖症、マニア」を取り上げる。