2020年01月19日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その11「戦闘総則」

今回から戦闘の話に入っていく。まずは戦闘ルールを総覧するような話題から始めていきたい。

・戦闘の基本原則
戦闘の章でしつこいくらい言われるのは「キーパーもプレイヤーも物語を語ろう」という事だ。とにかくただのダイスの振り合いに貶めてはいけないというのが強く求められている。

プレイヤーはルール用語を使わずに自分の行動を語り、キーパーはそれを聞いて必要なダイス・ロールを求め、その結果を成功、失敗だけではない物語として伝えるように努力しようとのことだ。これはゲーム全体で求められていることだが、特に戦闘ではそのことを強く求められている。この辺の記述に何かデザイナー陣の魂の叫びみたいなものを感じてしまうのはどうしてだろう?

・戦闘ラウンド
戦闘に参加する各キャラクター(怪物やNPCも含む)は各ラウンドに1回能動的に行動する機会が回ってくる。その順番がDEX依存なのは変わらない。複数回攻撃もその行動機会にまとめて行われる。当然ながら行動を遅らせるという戦術オプションも使用できる。各キャラクター1回に固定というのも今までのルールとの大きな相違だ。各キャラクターはラウンドに一度ずつスポットライトを浴びる、という例えはちょっとうまい。

・イクストリーム・ダメージ
これは従来の「貫通」や(正式ルールではなかった)「決定的成功」に代わる、イクストリーム成功を得た時に与えられる特別なダメージの事だ。貫通武器と非貫通武器で算出方法が異なるのでここに記載する。
非貫通武器(格闘、鈍器、ショットガンなど)
与えうる最大ダメージ。ダメージボーナスが付くなら最大値
・ダメージボーナス+1D4のキャラクターが警棒(1D6)で殴った時のイクストリームダメージは4+6で10となる

貫通武器(ショットガンを除く銃弾や刃物など)
与えうる最大ダメージ(あるなら最大のダメージボーナス)+通常のダメージロール
・38口径(1D10)の場合、従来の貫通(2D10)ではダメージが2~20だったものが今回のイクストリーム・ダメージ(10+1D10)では11~20になる。また、ダメージボーナス+1D4のキャラクターが小型ナイフ(1D4)でイクストリーム成功した場合のダメージは8+1D4となる。(すなわちダメージは9~12)

一応言っておくとクリティカル・ヒットという概念はルール上は存在しない。クリティカル(01)で何が起こるかはキーパーの裁量に任されるからだ。クリティカルの項には最大のダメージを与えるとは記載されているものの、非貫通武器の場合、イクストリームで最大ダメージが出るわけで・・・。そしてイクストリーム・ダメージが発生するのは自分の手番の攻撃の時のみ。(自分の手番以外で攻撃できる手段が新設されたのだがそれは次回以降)

貫通武器によるイクストリーム・ダメージの最低値の上昇は致死性を大幅に増大させることになる。これは一度に与えるダメージの量が重視されるダメージ改訂の影響だろう。さらに「貫通する武器では最低限のダメージしか与えない」という注釈が付いている神話種族などもイクストリームの成功ができればかなり大きな打撃を与えられる。(先の38口径の例でいえば最低でも11のダメージが保証される)

・戦闘でのプッシュ・ロールは不可
これに関しての細かい理屈は省く。<幸運>の項で述べたとおり、この失敗を補うためには<幸運を消費する>しかない。

・難易度調整は原則としてボーナス/ペナルティダイスを使う。
火器戦闘の場合、難易度で調整する場合がある。また、ボーナス/ペナルティは最大二つまで、ボーナスとペナルティはお互いを打ち消すというのも忘れてはならない。


とりあえず総則としてはこんなところかな。次回からは近接戦闘、火器戦闘へと移っていく。

2020年01月17日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その10 「<応急手当>と<医学>」

タイトルは「<応急手当>と<医学>」だが、重傷から瀕死に至った場合の処理、回復など全般をここで解説したい。

・「重傷」の影響
「重傷」に至るダメージを受けた時どうなるか、というのはいくつか記載がある。前回の例で述べたCONロールによる判定もその一つだ。でもその後の影響については回復速度の変更以外の記載がない。だが不利として判定する要素の一つだと考えることもできるだろう。この不利をどう判断し、ロールに組み込んでいくかはキーパー次第。

・瀕死
瀕死から回復へのフローチャートもルールブックにあるので参照してほしい。要は瀕死になった次のラウンドから応急手当を受けるまで毎ラウンドCONロールを振って失敗したら死ぬよ、ってことだ。

・<応急手当>
<応急手当>で回復できる耐久力が1ポイントだけという事で下方修正されたという論調を見かけるが、前回述べたダメージルールの改訂も併せて考えてみてほしい。「重傷」のチェックが入っていなければ耐久力が0に落ちたとしても意識不明に陥るだけで死亡することはないのだ。意識不明となったキャラクタの意識を回復させるだけなら1ポイントあれば十分なはず。

むしろ瀕死のキャラクターの容態を安定化させることこそ<応急手当>の本領となる。ルールブックでも技能の項で、
<応急手当>だけが瀕死状態のキャラクターの命を救うことができる
と、わざわざ「だけが」の部分に傍点までふって強調している。

・<医学>
<医学>の使用には時間がかかると明記された。だからキャラクターの耐久力回復のためにお手軽に<医学>を使という事は難しくなった。だが先も指摘した通り、一度に受けるダメージが重要視されるこのルールでは多少の回復にそれほど大きな意味はない。<応急手当>で安定化した瀕死のキャラクターを本当に救う時、<医学>の出番はやってくる。有能な医療従事者ならば<医学>と<応急手当>の両方必須だとある。

むしろ<医学>は病状の判定や治療用薬剤の使用などもっと専門的な知識や活動のために使われることが多いんじゃないかな。

・回復
自然治癒の場合、重傷チェックが無ければ一日に1ポイント回復する。重傷の場合はCONロールを各週に行い、その結果いかんで回復量が決まる。

重傷チェックは各週のCONロールをイクストリーム成功するか、最大耐久値の2分の1以上に回復するかによって消すことができる。

最大耐久力10のキャラクターが一度に5ダメージ受けた直後、他のキャラクターが<応急手当>で1ポイント上昇させ、6にした。この場合、重傷チェックを消せるのか?
この辺はちょっと迷う所だが、ルールの書き方を見る限りは各週終わりに重傷チェックを消せるかどうかの確認をするという事でいいと思う。つまり重傷チェックを消すためには最低でも一週間以上必要となるわけだ。(この辺意見が分かれるかなぁ?)

という事で今回はドクター要素満載でお送りしました。(特定の人物へ向けたメッセージ)

2020年01月16日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その9「ダメージルール改訂の意義」

ルール通りの順番で行くと次から戦闘ルールになるはずだが、ダメージルールの方が他の行動でも必要になるだろうと考えてこちらを先にした。

ダメージルールについて大まかに書くと、
・最大耐久力の2分の1以上のダメージを一度に受けると重傷になり、「重傷」ボックスにチェックが入る。
・最大耐久力を超えるダメージ一度にを受けると死亡。
・マイナスの耐久力は記録しない。
・「重傷」ボックスにチェックが入っていない状態で現在耐久力がゼロになった場合は意識不明となる。
・「重傷」ボックスにチェックが入った状態で現在耐久力がゼロに減少すると瀕死状態になる。
・瀕死状態の場合は死亡する可能性がある。

こんな感じになる。この辺のフローチャートはルールブックにも載っているので参照してほしい。ここから少し実例を挙げていくので、以前のルールとの差を見比べてほしい。

・最大耐久力が10のキャラクターが4→3→4のダメージを受けた場合。
従来のルール:
4ダメージ:現在耐久力は6。特別な影響なし。
3ダメージ:現在耐久力は3。現在耐久力の2分の1以上のダメージを受けたので、CON×5ロールに成功しなければショックで意識不明となる。
4ダメージ:現在耐久力は-1。次の戦闘ラウンドの終了時までに最低1まで上昇しなければ死亡。

新ルール:
4ダメージ:現在耐久力は6。特別な影響なし。
3ダメージ:現在耐久力は3。特別な影響なし。
4ダメージ:現在耐久力は0。意識不明に陥る。

・最大耐久力が10のキャラクターが5→3→2のダメージを受けた場合。
従来のルール
5:現在耐久力5。現在耐久力の2分の1以上のダメージを受けたので、CON×5ロールに成功しなければショックで意識不明となる。
3:現在耐久力2。自動的に意識不明となる。(戦闘中であるならこの時点でこれ以上のダメージを受ける可能性は低い)
2:現在耐久力0。次の戦闘ラウンドの終了時までに最低1まで上昇しなければ死亡。

新ルール:
5:現在耐久力5。最大耐久力の2分の1以上のダメージを一度に受けたため、「重傷」ボックスにチェックがはいる。CONロールに成功(レギュラーでOK)しなければショックで意識不明となる。(「重傷」に関する詳細は次回以降)
3:現在耐久力2。特別な影響なし。
2:現在耐久力0。瀕死状態となる。(瀕死状態の影響、回復については次回以降)

・最大耐久力10のキャラクターが11のダメージを受けた時。
従来のルール:
現在耐久力は-1。次の戦闘ラウンドの終了時までに最低1まで上昇しなければ死亡。

新ルール:
最大耐久力を超えたダメージを一度に受けたため死亡。

さて、こう見比べてみると従来のルールは何ポイントの耐久力が残っているかが重視されているのに対して、新ルールでは一度に何ポイントのダメージを受け(与え)たかが重視されているように見える。果たしてこれにはどういう意義があるのだろうか?

5版のルールブックから耐久力の項にはこんなことが書いてあった。けがの状態を受けたダメージのタイプに合わせて描写しよう、と。今回の新ルールはその見通しが付きやすくなったように思う。例でいうなら、4ダメージは重傷には至らないけど結構大きいダメージだという感じでダメージ描写のためのとっかかりになるだろう。

そしてダメージの積み重ねが「死」に直結しなくなった。すなわちプレイヤーに数字的なダメージ量が見えていたとしても、相手の状態はキーパーの描写にその多くを頼ることになる。やたらと異性を口説こうとするような奴にビンタ一発で1ポイントてな感じのダメージを気軽に与えられるようになったというのも大きい。

これらを総合するならこのダメージルールの改訂もまた「ドラマ性の構築」に大きく寄与するものであると言えよう。

2020年01月13日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その8「<幸運>ロール」

<幸運>はその決定方法がPOWから切り離され、独自に3D6を振って5をかける形になった。運用としては外部環境や運だめしのような探索者自身の能力だけではどうにもならないことのために使うでものあり、技能や能力値が適切であるとすればそちらを使うべきとある。つまり以前のルールブックの記載にあったような緊急事態における代替としての機能は考慮されていない。

その上で二つ新しい概念が生まれた。一つは<グループ幸運>、そして<幸運を消費する>という選択ルールだ。

<グループ幸運>というのは全体にかかわる<幸運>ロールが必要な場面において、その場で最も<幸運>の低い探索者を受け持つプレイヤーが<幸運>をロールするというものだ。また誰か一人に不幸が起こるような場合、もっとも<幸運>が低い探索者に降りかかるというのも記載されている。これはキーパーの裁量で行っていたことが明確化されたって事じゃないかな。

もう一つの<幸運を消費する>という選択ルールは先述したかつての緊急事態における<幸運>の運用の代替として生まれたのではなかろうか。要するに<幸運>の数値を使ってダイス目を変更できるというものだ。あくまで使えるのは技能(能力値)ロールのみで<幸運>そのものは当然として、<正気度>ロールなどでも使用できないし、ダメージや正気度ポイントの減少にも使えない。気にしていたのはプッシュ時に使えるかどうかだが、プッシュ・ロール時には使えないと明記されている。つまり一度目の失敗の時にどちらかを選べ、という事だ。プッシュ・ロールが使えない対抗ロールや戦闘(命中させたり回避したり)の失敗を救済するためにはこれを使うしか方法がない。

この選択ルール、情報が流れてきた時から特にキーパー側の評判が非常に悪い。電撃のレビュー記事(https://hobby.dengeki.com/news/908695/)ですら、キャンペーンのみでの使用を推奨するくらいだ。でもこのルールそんなに毛嫌いするほどのものじゃないと思う。

この<幸運を消費する>というルールは非常に制限が多い。また、<グループ幸運>の概念は幸運の乱用がチーム全体に悪影響を及ぼしかねないリスクもはらんでいる。電撃のレビューの中では使い切りプレイを恐れているが、ならばそれを前提としたゲームバランスを設定すればいいだけだ。

それに007以来、このような「ヒーローポイント」的なルールを持つゲームなど山ほどある。もし使い切りプレイを恐れるのであれば他の「ヒーローポイント」的なルールを持つゲームも単発プレイに向かないという事になってしまう。(もちろんクトゥルフが他のゲームよりキャンペーンに向いているというのには異論はない)

ここで一つ提案がある。この<幸運を消費する>ルールに記載こそないが推奨されうる一つの制限を課したらどうだろうか?それは<幸運>を消費して成功した時、探索者にいかなる幸運があって目的を果たせたのかをプレイヤーに描写させるというものだ。つまりプッシュ・ロールにおいて追加の時間や努力を描写する様に結果を描写させるのだ。

もちろん選択ルールだから使わせないというのも選択肢の一つではあるのだが。

2020年01月12日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その7「対人関係技能の再編と簡易的な対抗ロール」

最初の日本語版(第2版)から改訂版(第5版)に移行するとき<雄弁>が廃止され、<討論>が<説得>へと名称を変えた。そして今回、対人技能として新たに<威圧>と<魅惑>が加わった。<値切り>は各対人技能に統合される形で廃止された。

プレイヤーが対人技能の使用にする時は特に自身の探索者が何をするのか、何を言うのかを描写した方が良いと述べている。それを聞いてキーパーは、
・暴力で脅すなら<威圧>
・はったりをかますなどして手早くだまそうとするなら<言いくるめ>
・長い時間をかけて筋道を立てた理屈を説くなら<説得>
・友好的な態度でふるまったり、個人の魅力を使うというなら<魅惑>
こんな感じで4種類の対人技能のどれがふさわしいのかを判断する。もう一度繰り返すがどれを選ぶかを判断するのはキーパーだ。

プレイヤーとNPCとの対抗には原則として対抗すべき技能の数値に応じて難易度を設定する方式が使われる。この方法の良いところはプレイヤーだけがダイスを振ればいい事、対抗ロールではできないプッシュ・ロールができることにある。

対人技能ではこの他に態度が協力的かどうか、自身の行動を支援するものの有無などが難易度設定の要素として使われる。一度目のロールに失敗した後、使う技能を変えた場合でも方針を変えるという追加の努力を行ったという事になり、プッシュ・ロールとして扱われる。

対人技能は他者の行動をある目的に誘導するのにどのようなアプローチをとるか、という事に収束できる。何度でも繰り返すがプレイヤーはそのアプローチをルール用語ではなく行動として描写することを求められる。キーパーはそれを聞いて4つのうちから適切な技能と難易度を選択し、結果を成功、失敗だけではない物語として語らなければならない。これはクトゥルフに限らずTRPGというものの一つの理想のはずだ。今回のルール改訂はこれを強く打ち出しているように思える。

最後にこの対人技能が(他の探索者やNPCから)探索者に向けられた時の処理が記載されている。前回も述べたが、ここら辺の処理が懲罰としてのペナルティダイスの与え方のヒントになるのではないか。

2020年01月11日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その6「ボーナス/ペナルティダイス」

10の位のダイスを追加してロールするボーナス/ペナルティダイスはネット上におけるいくつかの「なんとなく面白そう」という反応を見る限りでは乱用されそうではある。ダイスをいっぱい振れるのは何となく楽しいかもと感じるのはわからないではないが、ルールにも指摘されている通り、正当な理由なく安易に使うべきものとは思えない。

ではこのボーナス/ペナルティをどう使うのだろうか?いろいろ取り混ぜて列挙していく。

・対抗ロールにおける有利/不利
成功度を比較する対抗ロールにおいては難易度を使うことができないので、有利/不利を設定するためにこの方法を使うべきとルールに明記されている。

・ルール上で明記されているもの
明記されているのだから当然ではある。この辺はその都度紹介していく。戦闘や正気度の項でよく使われる。

・その他
一般的な技能ロールの難易度設定はキーパーが各要素を考慮して行う。完全にイコールではないがボーナス/ペナルティダイス一つにつき難易度一段階くらいにあたるとみていい。したがってボーナス/ペナルティを使うことを考える前に難易度設定で何とかできないかをまず考えるべきだ。(これはルールが求めていること)

良いロールプレイや良いアイディアなどにご褒美を与えたり、逆に問題行動などにペナルティを与えるためにこれらを使いたくなるかもしれない。

ルールにはボーナスダイスを使用した場合、技能に成功しても経験チェックが与えられない、とある。経験チェックが与えられない以上、ご褒美としてのボーナスダイスは少し使いにくい。ただクイックスタートルールに収録されているシナリオ「悪霊の家」にはボーナスダイスを使ったちょっとした工夫が載っている。

逆に懲罰としてのペナルティダイスというのはもめごとの種になりかねないので、使用には慎重に慎重を重ねて運用すべきだ。次回は対人技能の再編成について取り上げるが、そこでのペナルティダイスについての記載は懲罰として使うためのヒントになるだろう。            

2020年01月09日

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その5 「プッシュ・ロール」

日本語版発売決定のPVでもこの「プッシュ・ロール」は目玉の一つとして紹介されていた。それについて今回は紹介していく。

まず前回の続きのような形で基本的な流れを紹介する。

・技能ロール(能力値ロール)による目的の達成に失敗。

・プレイヤーはプッシュ(再ロール)を要求

・キーパーは状況をプッシュするためにどのような行動をとるのかを尋ねる。
もちろんプレイヤーがプッシュを要求した時点で説得力のある行動を説明できていればここは省略できる。

プレイヤーは説得力のある追加の行動、時間を描写する。
迷うようならキーパーや他のプレイヤーが助け舟を出すこともできる。ここでキーパーが納得すればプッシュ・ロールを許可するだろう。

・キーパーは失敗した際に発生する不都合を予告する(省略可)
その不都合についてどこまで説明するかもキーパー次第だ。ここでキーパーは平凡な不都合よりも面白い不都合を考えることが絶対に必要だ、とまで書いてある。

・プレイヤーが不都合を受け入れれば、再ロールを行う。
この場合も成功、失敗の二種類がある。
成功:先の目的は達成される。不都合は起こらない。

失敗:キーパーは自由に結末を決めることができる。先に予告してあるなら予告通りの事が起こるだろう。



前回の最後に一回目のロール失敗の描写をきちんとすべきだと述べた。それは説得力のある時間、行動を描写するための材料になるからだ。例えば亀裂を飛び越えるための<跳躍>に失敗したとき、それは

飛び越えるのに失敗して今まさに落ちようとしているのだろうか?

そもそも飛び出せなかったり、飛ぶ前に止まってしまったのだろうか?

前回も述べたがそれを決めるのはキーパーだ。プレイヤー側が案を出したとしても最終的な決定権者であることに変わりはない。それをきちんと決めておかなければプレイヤー側も説得力を持たせる描写などできるわけはない。落ちようとしているのであれば崖のふちに手を伸ばしたり這い上がろうとするだろう。完全に落ちてしまっているなら事が終わってしまっているため、そもそもプッシュする事すら不可能だ。飛び出せなかったのなら、もっと慎重に測ろうとか勇気を振り絞ってもう一度飛ぶんだというのも追加の行動だ。

そして成功、失敗どちらにしても語るべきドラマは違ったものになる。失敗した場合「自由に結末を決め」られるという事は目的が達成したことにすらできてしまうのだ。ただこの場合、おそらく大きな代償を支払うことになるだろう。先の例でいうなら亀裂を飛び越えることができたが大切な何かを落としてしまうというような。

このプッシュ・ロールを使いこなすためにはキーパーには対応力と発想力が、プレイヤーには提案力と度胸が求められることになる。だがそれを乗りこなしていくことができればより良いドラマを生み出す強力なエンジンとなりうるに違いない。

2020年01月07日

新クトゥルフ神話TRPGゲーム解説 その4「技能ロール」

今回のルール改訂で様々な変更があったが、その基礎となるのは「判定基準を統一したこと」にあると思う。私はこれを「BRPじゃなくなった」ではなく「BRP2.0」と例えている。もし「ルーンクエスト」の次の版(10年は先の話だろう)が今回のシステムを基礎とするのなら私の例えは正しかったこととなる。

ではもうちょっと具体的に見ていこう。

能力値が%表示になったことで技能の一種として扱われるようになった。そのおかげでBRPの象徴とも言うべき抵抗表が廃止されることとなり、今までできなかった能力値と技能の対抗も可能になった。3段階の成功度(レギュラー、ハード、イクストリーム)が設定され、それが判定のための難易度になったり、お互い競い合わせるための基準値となる。クリティカル(01)とファンブル(00もしくは96~00)も明文化され正式なルールとなった。この明確な基準はわかりやすくはあるが、人によってはもうちょっと自由にやらせてくれよと思うかもしれない。

基準が明確化されると共にキーパーとプレイヤーの技能ロールにおける役割も明文化された。それの基本的な流れはこうなるだろう。

・プレイヤーは自身のキャラクターの意図とそのための行動をを宣言する。
この際、プレイヤーはなるべくルール用語を使わずに自身の行動を語ることが推奨される。(Keeper’s rulebookの邦訳なので記載はあくまでキーパーがそういう風にさせる方がいいよとなっているが)つまりプレイヤーは単に「○○技能振っていい?」ではなく、これを達成するためにこうする、したいというべきだという事だ。

・キーパーはその意図と行動の宣言から目的を読み解く。

・キーパーはその目的から状況に応じて適切な技能もしくは能力値を選択する

・キーパーは難易度を設定する
ここでキーパーは様々な事情から振らせるべきではないと判断したなら、振らせずに済ますこともできる。その時は自動的に成功またはそれは不可能だと告げることになる。

・キーパーはプレイヤーに技能と難易度を告げてダイスロールを要求する。

・プレイヤーはダイスを振る。

・キーパーはその出目を判断する
結果は成功、失敗の二種類しかない。クリティカルやファンブルはその中に含まれる。
・成功した場合
 目的は達成される。高い成功度を出したからと言って変化させる必要はないというもののその辺はキーパーの考え次第だろう。この場合達成された描写をプレイヤーに任せることも推奨されている。行き過ぎたならばそれを適時キーパーが修正していけばいい。クリティカルの場合に何が起こるかはキーパーの裁量だが、プレイヤーも積極的に提案していくべきだろう。

・失敗
目標は達成できなかった。具体的に何が起こるのかキーパーが決定し、描写する。(その際プレイヤー側から提案していくのも可)。ファンブルの場合はよりひどい結果となるだろう。キーパーはその失敗の結果をきちんと描写すべきだと思う。なぜならそれが次回に語るプッシュ・ロールにつながっていくのだから。

1/8:少し修正しました。

2020年01月06日

新クトゥルフ神話TRPGゲーム解説 その3「バックストーリー」

我が兄にこの新ルールの解説をしたとき、大きく食いついたのは「バックストーリーの改訂」という部分だった。この改訂についての具体的な話は正気度のあたりで語ることになるだろう。まずはこのバックストーリーそのものの話だ。

キャラクターシートにはバックストーリーとして、
「容姿の描写」
「信念/イデオロギー」
「重要な人々」
「意味のある場所」
「秘蔵の品」
「特徴」
「負傷、傷跡」
「恐怖症、マニア」
「魔導書、呪文、アーティファクト」
「遭遇した超自然の存在」
の10項目がある。新規作成の段階では原則として上の6か所を記載していく。思いつかない方にはその叩き台としての1D10を使う表も用意されているので、その出目からいろいろ想像していくと思いがけないキャラクターが出来ていくだろう。そして、特に重要なものを一つキー・コネクションとして選ぶ。これらがどう正気度にかかわっていくのかは後の話としよう。

良いプレイヤーは巧みにバックストーリーを作り、良いキーパーはそれをうまく利用するだろう。そのコンビネーションが良いドラマを生むと私は思う。そしてプレイを続けていく中での改訂の記録こそが探索の足跡となっていくはずだ。

新クトゥルフ神話TRPG ゲーム解説その2「<信用>技能」

かつての<信用>技能は重要だといわれつつも良く分からないものだった。最初の日本語版を読むと「これって金を借りるための技能なのか?」と思ったくらいだ。後の版で豊かさや人格的な指標のようなものとは書かれているが、収入に関しては別なロールがあるし、人格的な指標というなら対人技能の代替にしかならない。<言いくるめ>や<説得>が職業としてとれるなら<信用>をわざわざ取りに行くだろうか?

だが今回<信用>の定義は大幅に変更され、初期値が0%となり職業ごとに定められた一定の範囲内で取得しなければならなくなった。その数値に応じて収入や持ち物などが決定される。私はこれを社会身分度という形で説明した。社会身分度なので経験チェックの欄が無い。この技能がどう上下するかについてはもう少し後の話になるだろう。ちょっと面白いのは毎度おなじみハーヴェイ・ウォルターズ氏の話だ。

例の中でハーヴェイのプレイヤーは彼が裕福な家庭の出身なので本来ジャーナリストとして定められている<信用>の値(9~30%)を超えることを求め、キーパーはそれに同意しているのだ。つまり、きちんとしたドラマ性が構築できるとキーパーが判断したなら、本来のルールから逸脱した要求も許可できるという事を公式の例として認めているという事になる。(それに見合うロールプレイができるなら、あえて<信用を>0%にとどめた浮浪者探偵とか面白いじゃないか)

そして<信用>をどう使うかやAPPと並んで第一印象を測るための基準値として使用することなども書かれている。(先の例に挙げた<信用>0%の浮浪者探偵はここら辺で苦難に立ち向かう事となる)